アメリカの食料戦略

アメリカ農業の背景

アメリカの食料自給率はカロリーベースで100%を超えています。
これはつまり、全米国人が消費するカロリー量を超えた値ということができますが、アメリカがすべての食料品について自給自足しているわけではありません。
まずは農業大国でもあるアメリカの農業について触れてみましょう。

アメリカの農業は、その広大な国土を活かし都市部を除く全土で盛んに農業が行われています。
皆様も想像に難くない所はあると思いますが、肥沃な大地に広大な小麦畑が広がっているイメージがあるのではないでしょうか。
もちろん、そうした農場もあれば、とうもろこし、大豆、干し草なども生産されており、その量は世界一を誇るものです。
こうした背景には、やはり先述の広大な農場を持つことができるところに起因しています。
西経100度を中心線として、その東側ではとうもろこし、酪農、綿花の栽培が頻繁に行われており、西側では小麦の生産が盛んです。
また西海岸、東海岸でもこれらとは別の農業(地中海式農業、亜熱帯作物)が盛んです。まさに全土を活用した農業大国と言っても過言ではありません。

そんなアメリカの農業は大規模農場がほとんどを占めます。自由主義社会を中心とする国ならではかと思いますが、こちらも戦後より進められてきた小規模農場の買収が頻繁に行われた結果です。
ただ日本と同様、農業人口が減っているのが実情です。農場で働く人は1950年台には約800万人いましたが、2000年台に入ると約200万人にまで減少してしまいました。
この点は日本と同様、担い手が減少している表れではありますが、それでも他国の追随を許さない生産量を誇るのは、1950年台より始まった機械的、科学的な農業を行ってきたからに他なりません。
アメリカの農場をイメージした際に、たくさんの人が広大な農場で種まきをしたり、放牧しているところはほとんどありませんし、そんなイメージもないと思います。
農業人口が減っているにも関わらず、こうした大きな農場を維持できるのは、いわゆる工業的農業という形態をとったから、と言われています。
そのため、先述の日本と同様、農業人口が減少しているものの、その理由が異なります。
日本の場合、農業はあまり儲からず、それよりも楽な第3次産業に人が流れてしまったことが主な理由ですが、アメリカの場合は徹底した工業的農業を推し進めた結果、必要な人出が少なくなってしまい、結果的に他の仕事へと流てしまったことが考えられます。
もちろんこの工業的農業には負の側面もあり、あまりもの大量生産を行うが故に、土壌汚染などがしばしば問題化することもありました。

今後のアメリカ農業の発展について

21世紀に入り、世界的な人口増加、地球環境の変化による災害、そしてそれに伴う食糧危機はどの国でも心配されていますが、アメリカは早い段階からそうした問題を解決すべくバイオテクノロジーによる農業政策を行っています。
例えば遺伝子組み換えを行ったとうもろこしの栽培や、家畜の生産などがそれにあたります。
我が国でも倫理上の問題として議論になったり、特に安全性への不透明感が強いため、なかなかその考えが浸透しにくい部分もありますが、もし本当に食糧危機が訪れた時に、今議論されているようなことが続いているのか、ということには疑問が残ります。
むしろバイオテクノロジーによって進化した農業を持つアメリカが、強い国となり世界を席巻することは可能性としてあり得るでしょう。

アメリカの食糧輸出事情

アメリカが他国に行う輸出品項目の中で、食糧は約10%を占めます。
これは工業大国にもなった同国からすれば、かなり大きな割合を占めていると思われますが、アメリカほどのテクノロジーを持った国であれば工業製品により比重をおいた輸出政策が取られるはずです。
しかし、そうしなかったのはアメリカの強かな世界戦略にありました。
第2次世界大戦後に起こった朝鮮戦争が休戦となった翌年、1954年にPL480(農業貿易促進援助法)という法律が制定されます。
同法は食糧輸出を世界的に行うために作られた法律ですが、世界中の文字通り、発展途上国に対しても大きな配慮がされた法律でもあります。
その内容は、アメリカが生産した農産物は米ドルではなく、その国の通貨で買うことができ、しかも長期借款でいいというものです。
これだけで考えれば食糧難に陥っている国は、喜んで自国の通貨でアメリカの食糧を買うことになるのですが、その代わりにその国でアメリカの農産物の宣伝を行ったり、市場開拓費として使ってもいいという、条件も存在します。
つまり、食糧を買い手にとって好条件で売ることで、後々の同国への戦略を容易にする、という意図が含まれています。
少し怖い話かもしれませんね。

過去からこういった政策を行ってきたが故に、現在でもアメリカは様々な国に強い影響力があり、ともすれば食糧ひとつだけでも世界経済を動かすことができる強い影響力を維持している、と言うことができます。
為替もアメリカの強い影響力を受け相場が大きく動きます。初心者のためのFX取引入門サイトで基礎知識のコラムを読んでみてください!