イギリスの食料戦略

食料自給率を向上させることに成功した国

イギリスは現在でこそカロリーベースで食料自給率74%(2000年農林水産省)というデータが出ていますが、元々は食料自給率は芳しくない国でした。
第一次世界大戦直前、1914年には約42%程度しかなく、今の日本のように自国民を食べさせるには輸入に頼る部分が大きかったようです。
そこで政府は第一次世界大戦中に、食料の自給率を上げるため食糧を確保する政策に転換。第二次世界大戦時には、穀物、ばれいしょといったものを増産するよう指示を出しました。
この2つの大戦後、1947年に同国の農業法を制定することになりますが、その際に経験した食糧対策を鑑み、イギリス国内で生産した方がいいものを具体的にピックアップし、その食糧と農産物を明記することになりました。
これがきっかけで、翌年以降、小麦や大麦、牛乳において10%以上の生産量増加を実現することができました。

ただ政府が増産を指示したから、という理由だけで食料自給率が上がったのか、と言われると、それだけではないと言えます。
むしろ食料自給率の向上は、そんな単純なものではありません。外国からの経済的な外圧があったり、農地面積の大小、周辺国の状況によって左右される部分があるからです。
イギリスが発展を遂げた理由としてまず考えられるのが、消費面で食生活に大きな影響がなかったこと、という理由が挙げられます。
これは戦前より、というより中世時代から世界の盟主として君臨した大英帝国の影響があったのではないでしょうか。
他の国から食糧を輸入することはあっても、文化的にはほとんど独自の文化を歩んできた側面があるため、食生活に影響をあたえるようなことはなかったと推察されます。
また両大戦を通じて戦勝国(第一次世界大戦時は大英帝国)となったため、敗戦による文化的混乱がなかったことも挙げられるのではないでしょうか。
日本ですと、第二次世界大戦後の混乱やアメリカ文化の流入により、食糧消費のアドバンテージが他国に取られていることを考えるとわかりやすいかもしれません。
そして、一人あたりの農地面積が大きいこと、EC加盟による農産物価格への支持と国境措置による保護があり、順調に食料自給率を伸ばしてきたと言えます。

農地面積とEC加盟

イギリスの農地面積は国土の約70%が農地と言われています。日本では約13%あまりですので、その広大さは話だけでも聞いて感じることができるでしょう。
しかし農業人口は日本よりも少ないため、一人あたりの農地面積は必然と大きなものになっています。これは同じEUの中で見ても、他の国の約4倍。日本と比べると30倍を超えるものです。
実はこの面積がイギリスの農業発展に大きく寄与することになりました。
1978年にEC共通農業政策が完全に適用されますが、この時、周辺諸国と農産物価格を比べてみるとイギリスよりもずっと高額でした。
そのため、面積が広いため生産コストが安くなるヨーロッパでは農産物を生産するのにアドバンテージが取りやすい状態でした。
以前より進めていた、自給率をアップさせるための政策がここで大きく作用することになり、その結果、小麦などの農産物を大量に生産することに成功したのです。

今後も安定した食料供給を行える期待感

このことからEUの前身であるEC時代からイギリスの食料政策は功を奏しており、今現在もその影響力は周辺諸国にとって良好なものとなっています。
2002年には政府の科学分野アドバイザーが主体となり、その指揮下において科学的検証と将来分析を行っています。
そこでは長期的(20~80年後)な分析も行っており、食料不足についても議題が上がったものと思われます。
このようにイギリスでは、自給率を上げるだけでなく将来の展望を見据えた政策を進めているのが実情となっています。

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